Sword and Queen

 時は中世、所はヨーロッパのある王国。この王国に、とても勇壮で剣術の優れた騎士(ナイト)がいた。騎士はまた、剣の舞いも王国一であった。むしろ剣術より、剣の舞いの方が、騎士にしてみれば得意であったかもしれない。国王の城で行われる晩餐会で披露される剣の舞いは、城に招かれたすべての客の瞳をくぎづけにしていた。
 そんな騎士に一人の女性が恋をした…その女性とは…女王であった。騎士の剣はいともたやすく女王の心を貫いてしまったのである。それほどまでに、騎士の舞いは華麗で情熱に満ち溢れていた。そしていつしか騎士もまた女王に恋をしてしまったのである。
しかし、これが悲劇の始まりであった。女王と騎士が相想っていることに、国王が気づかないはずがない。烈火のごとく怒った国王は、騎士を処刑してしまった。騎士は勇壮であり、戦いには欠かせない戦力であった。そのため国王の側近達の中には、処刑に反対する者もいたが、国王は受け入れなかった。そして女王は悲しみに明け暮れる毎日であった。騎士がいなくなった王国は、まもなく隣国との戦争に敗れ、滅びてしまった。騎士が生きていれば、王国が滅びることはなかったであろう。

 それから700年ほど時が進んだ現在、ここに一体の人形がいる。彼には舞いの才能がある。彼の舞いは神から授かった天賦の才能である。だが、彼には感情がない。愛することができない人形である。
実は、彼の前世は人間であったのだが、ある理由により、神は人間に生まれ変わることを許さなかった。彼は前世において、一人の女性を愛したがために、処刑されてしまったのである。そして現在に生まれ変わる彼に、前世の悲劇が再び訪れないよう、神は舞いを与え、愛を与えず、人間ではなく人形として、現世に生きることにしたのである。
 そんな彼の舞いは前世よりも増して華麗であった。すべての客の瞳をくぎづけにしていた。しかし、客の瞳から放たれる愛を、彼は受け入れることができない。愛することができないのである。
彼の願いは愛することである。感情がない彼の唯一の望みであった。そして、「もしも人形ではなく人間ならば、きっと愛も持てる」、そんな思いを胸に秘めて、彼は人間たちの前で舞う日々を送るのである。いつしか人間になれることを信じて…。
しかし、彼は人間にはなれない。神が決めた運命なのである。このことは、彼だけが知らない。舞いで人間たちを魅了させることはできても、悲しいかな、彼は永遠に人形なのである。

 彼の名は、Parts。生涯を舞いに捧げる人形なのである…。


詩 静岡のお兄さん


とても素晴らしい詩をいただきました。
静兄、ありがとうございます!

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by parts1969 | 2010-05-25 12:23 | ・日記 Diaries

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